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「待ちぼうけ」 [S.ショート・ストーリィ]

「あ、忘れ物した。ちょっと待ってて」
学校の帰り道、ショーゴはそう言ってもと来た道を引き返して行った。
僕は言われた通り、信号機のある四つ角で待っていた。が、30分待っても
彼は戻って来ない。
もしや事故にでもあったのでは…と思って、学校まで捜しに戻ったけれど、
彼には出会わなかった。
彼の家へ電話をしてみんなであちこち捜し回ったが、彼は見つからない。
一ヶ月、二ヶ月たっても彼は見つからなかったし、戻って来なかった。
いつしか僕は卒業するまでの毎日、ショーゴと最後に別れた四つ角で、
彼を待つようになった。学校を卒業した今でも時々あの四つ角へ行っては、
消えた時そのままの姿でショーゴが帰って来るのを待っている。

−END−

これは某誌のテーマ投稿に応募した作品を、少し改訂したものです。
学校は、既に卒業してからの作品です。


「鈴の鳴る音」 [S.ショート・ストーリィ]

むか〜し学生の頃(高校生だった筈f^_^;)、某新聞に学生向けのコーナーがあって、
その中に短編を四百字詰原稿用紙1枚以内に書いて下さい、という募集もありました。
で、おもしろがっていくつか投稿していたのです。
その中のものも含めて、ぽちぽちと載せてみようかなぁ…なんて思いまして。
(誰かさんからのリクエストもありましたし(笑))
どれだけ続けられるかわかりませんが、良かったら読んでやって下さい(笑)。
これは、一番初めに書いたものが残っていないみたいで、記憶で書き直しました。
(何しろ、ロングヴァージョンとかコミックとか、沢山改訂したものですから…(笑))

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 この街にいつの間にできたのか、不思議な店がある。
見た目はごく普通の雑貨屋なんだけど、並んでいる品物が変わっている。
水の中で燃えるロウソクとか、人間そっくりに動くマリオネットとか…。
中でも一番不思議なのが、鈴が沢山ある事…!
鈴好きのボクには、もってこいの店なんだけどね。
 今日も学校帰りにまた、その店に立ち寄った。
「こんちは〜。今日は、何かいいのがあったら買うよ〜。」
「いらっしゃい。…そりゃ、ありがたい。ゆっくり探しとくれ」
 たくさんある鈴をながめていると、足元でチリンと音がした。見ると、今まで
気がつかなかった小さめの鈴が並んでいる。
「ねぇ、店長。この十二支の鈴、前からあったっけ?」
「どれ?…ああ、前からあったよ」
「ふ〜ん。どうやったら、こんな風な鈴ができるのかなぁ…」
「…見せてあげようか、作り方」
「え…?」

ガラガラガラ…!!

 壁にあった鈴が落ち、店長が歩いてくる気配がした。
「やれやれ。随分と暴れ回ったものだ。お。…今回もまずまずの出来だな」
そう言ってつぶやいた彼の手の中で、ボクの体がチリンと鳴った。

−END−


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